このコーナーでは、仕事場でおきるいろいろな出来事・・・

「クライアントの不平不満」「気になるあのお仕事のギャラ」「同業者のウラ話」などなど・・・

以外の、あんまりなまなましくないお話を、多分の脚色を交えて書いています。
      


2006.12.29 週刊ワークショップノート 第五週目

  先日ちょろりと書いたロバート・サブダの飛び出す絵本展、最終日の25日にギリギリセーフで行ってきました(の、つもりが、好評につき3日間の会期延長だそうです。だったら後日ゆっくり行ってもよかった)。サブダの絵本はたいてい持っているので、今さら驚くこともないだろうと内心では思っていたのですが、いやいや素晴らしい展覧会で、すっかり刺激を受けて帰ってきました。
 まずはポップアップの展示方法。飛び出す絵本の拡大版(3倍くらい?)が、畳半畳くらいの展示台の上で、ボタンを押すたびゆっくり1回開閉します。とは言っても、次から次とお客さんが押すので、事実上ひたすら動きっぱなし。ページを開閉させる機構はもちろん機械ですが、拡大絵本はどう見ても紙でできていました。からくりペーパークラフトの展示モデルで電動モデルは時々作るのですが、あれだけ動き続けても壊れないものを紙で作るのは、ものすごく大変なのです(ペンギンの翼なんてしょっちゅうモゲて帰ってきます)。図工室工作担当のマスカワ君によーく偵察してもらったところ、深く折り曲がる部分は一旦紙を切って、蝶板でつないで色を塗ったり、マジックテープで留めたり、ありとあらゆる技を使っていたそうです。いったい誰が作ったんだろうか。もしも日本の職人さんが作ったのであれば、是非そのコツを教えていただきたい。
 そして一番興味深かったのが、サブダのラフスケッチと会場に再現されていたアトリエの様子。「天才」なだけのはずはないって前回も書きましたが、スケッチを見ると、あぁサブダでもこうやって迷いながら作っているんだというのがヒシヒシと伝わってきて、やっぱり同じ人間なんだと安心しました。机の上に並べてあった、試作段階のホワイトモデルも、最初の方はいたってシンプルで、これなら僕にでも考えられるくらいの構造です。そこから先の突き詰め方が、常人とは一線を画すところで、おそらく何十回も試行錯誤を繰り返しているであろうことが見て取れました。うーん、ああいうのを見せられると、「締め切りも近いから今回はこの辺で」なんてことができなくなってしまうじゃないか。困るなー。同じく机の上に並べてあった、僕も使っているアナログな道具の数々には、ちょっとなごみました。でもマックが置いてなかったのはウソ臭いなー。絵にならないもんね、ラフ段階のイラストレーターの画面。
 
 というわけで、きりよく年末のタイミングの良いところで、やる気がモリモリ湧いてきました。来年もがんばらねば。今年はオリジナルからくりシリーズの新作も出さず、クリスマスキットもサボってしまってちょっとジクジたる思いをしていたのですが、来年は紙工作本を2冊出す予定です。掲示板のスパム対策も近いうちにおこないますので、2007年もどうぞよろしくお願いします。
   


2006.12.22 週刊ワークショップノート 第四週目

 世は師走。というわけで先週来なんだかんだと飲む機会が増えています。少なくとも僕の場合、仕事のつきあいで仕方なく飲まなきゃならないという機会はめったになく、相手にしても僕を接待して得することなんてあんまりありませんから、飲み会のほとんどは自主的に、あるいは声をかけてもらって喜び勇んで参加する楽しい会となります。会社勤めの友達、特に営業職の友達の話を聞いていると、これってけっこう幸せなことなんだろうと思います。
 先週末は、大学時代の軽音楽部の先輩が主催するOBライブに行ってきました。毎年恒例になったこのライブ、今年で5年目をむかえます。40代半ばの出演者が中心なのですが、それぞれの会社の同僚や先輩にも声をかけてメンバーを募っていますから、昨年あたりからそろそろ50代に突入した出演者も現れはじめました。おじさんバンドというと反射的にビートルズを思い浮かべる人も多いかと思いますが、おじさんを十把一絡げにしちゃいけません。ぼくらが大学生だった「たったの」20年前といえば、洋楽ならU2やマドンナ、邦楽でいうとブルーハーツやボウイがデビューした頃で、ほらみんなバリバリの現役。この世代のメンバーにとってもビートルズは何をいまさらのスタンダードなのですよ。カバー曲バンドも、70年代80年代の曲が中心で、これはこれでけっこうイマドキで新鮮だったりするのです。ぼくがベースをしていたバンドは残念ながらボーカルが行方不明で参加できないのですが、毎年楽しみにしているイベントです。
 バンドによっては練習は年に2,3度のアマチュアの自主ライブとは言え、そこは仕事や子育てもそろそろ落ち着いてきた大人達の年に一度のお祭り、はっきり言って金はかかっています。会場は原宿のド真ん中のライブハウスで、プロも普通にライブを行っているホールを、毎年1年前から押さえているそうです。今年からはチラシもオフセットで印刷するようになりました。そして毎回楽しみなのが年々高価になっていくメンバーの楽器たち。学生時代はとても手が出せず、フェルナンデスやグレコ、がんばってもフェンダージャパンで我慢をしていたおじさん達が、自分で働いたお金で手に入れた念願のフェンダーUSAやギブソンやオベーションを、曲に合わせて弾き分けるさまは、まるっきり新しいおもちゃを手に入れた子供のようです。肝心の演奏力はといえば、そこはそれバンドによって様々だったりするんですが、音響的にはけっこういけてるライブなのではないかと思います。歳をとって人生経験を重ねて、初めて出せる味やグルーブ感というものもあることだし。お金に困っている学生バンドからすると口惜しい話でしょうが、それでももしいつか僕に出演の機会が巡ってきたとしたら、やっぱり当時は欲しくても買えなかったスティングレイベースを、たった2,3曲のために買ってしまうんだろうなぁ。朝の4時まで開いている中華料理屋の座敷を占領しての打ち上げも恒例になりました。年に一度の演奏の後のビールは本当に美味しそうで、みんなきっとこっちの方がメインなんだよな。
  


2006.12.14 週刊ワークショップノート 第三週目

 先週、あるお仕事で飛び出す絵本の試作品を作る機会がありました。諸事情により、作業時間2日弱で見開きページを4点。なかなかに厳しいスケジュールです。幸いなことに(生命誌のおまけとは違って)、飛び出させるシーンはそれほど特殊なものではなかったので、困ったときの神頼み、こんな時のためにかねてから買い貯めておいた既成の飛び出す絵本を参考に・・・大いに参考にさせてもらって、何とか締め切りに間に合わせることができました。
 飛び出す絵本の神様といえば、今ではすっかりおなじみのロバート・サブダ氏。たった一人で世界の飛び出す絵本事情を変えたといっても言い過ぎではない天才です。The Christmas Alphabet以来の大ファンで、かねてからすごいすごいとは思っていましたが、パクってみると(あ、言っちゃった。あくまでも試作品なので、そのまま世に出ることはありません。)そのすごさをあらためて感じました。
 ご存じのように、飛び出す絵本は本を90度、あるいは180度開く力と角度の変化によって、ページに取りつけられた紙の構造を飛び出させるものです。元になる力はたったこれだけですから、基本的な原理は実はほんの数種類しかありません。問題となるのはその原理の組み合わせ。サブダの絵本は、従来のものと較べて、その組み合わせ方のバリエーションが圧倒的に豊富です。
 土台に対して90度に立ち上がる構造が順番につながっていく様子なら、僕にもイメージできるんです。それ以外の角度でも、土台となるページの中央をまたいで左右対称に取りつけられた構造の飛び出し方なら何とか。でもサブダのポップアップは90度以外の折り線を多用し、しかもその構造を入れ子式にどんどん組み合わせて、思いがけない所から思いがけない角度で飛び出してきます。さらにはそのアイデアが1見開きの中にびっしり。簡単な飛び出す絵本なら、それだけで丸々1冊作ることができるほどです。組み立てる中国の職人さんがちょっと気の毒。
 サブダのもっとすごいところは、その複雑な構造を、一見全然複雑ではないように見せているところです。これまでになかった洗練されたグラフィックで人気のあるサブダの絵本ですが、そのグラフィック要素の多くは、そもそもこの部品がないと飛び出すことができなくなる、構造上の大事な部品を兼ねています。本当はこの部品は見えない方がいいんだけどしかたないな・・・といった、機能一辺倒の野暮なパーツはほとんどありません。無駄な要素がないこと、これは飛び出す絵本に限らずデザインには大事なことで、僕も多いに見習わなければならないところです。

 最初に何気なく「天才」なんで言葉を使ってしまいましたが、目の前にお手本があるにもかかわらず、その数ランク下の試作品を作るだけでも、こちらを立てればあちらが立たず、何とか立たせても今度は本を閉じるとはみ出してしまう・・・机の回りをゴミの山にして格闘した経験をした今では、天才のひらめきだけであの数々の作品が生まれたとは思っていません。きっとものすごい回数の試行錯誤を繰り返しているんだろうなぁ。洋服の袖に紙の切れ端とか両面テープのカスとか付けたまま、家に帰ったりしてるんだろうか。そう考えるとがぜん親近感が増してきました。
 そのロバート・サブダ氏ですが、ただいま来日中だそうです。池袋イルムスで作品展も開かれているとのこと。時間を作って見に行かねば。
   


2006.12.8 週刊ワークショップノート 第二週目

 今週の半ば、雑誌の取材を受けました・・・正確には、取材に混ぜてもらいました。というのもこの雑誌、WEBクリエイターのための月刊誌で、取材対象となったのはその雑誌が今月注目するサイト、そしてそのサイトを作った制作者全員だからなのです。ぼくは、そのサイトに使用されたペーパークラフトを作ったスタッフとして声をかけていただきました。ディレクターにWEBデザイナーにフラッシュ制作者にペーパークラフト作家、それぞれの立場からのインタビューでしたので、実際の誌面に載る僕のセリフはきっと3行くらいじゃないかと思います。
 それでも今回の取材はいつにも増してうれしいものでした。実は同じ雑誌の同じコーナーに、1ヶ月前にも登場させてもらっていたからです。前回取材を受けたのは、日本郵政公社の「紙の郵便局」。この時は、広告代理店の大会議室に、郵政公社の担当者さんもまじえて総勢15人以上の制作スタッフが勢揃いしました。僕はずっとWEBディレクターと1対1で作業を進めていたので、一つのサイトを作り上げるために、こんなにも多くの人達が関わっているのだとあらためて気づき、ちょっと感激してしまいました。
 ペーパークラフトのコンテンツがメインとなるサイトに、こういった専門誌が注目してくれることはうれしいことですし、そのサイトに、偶然にも2回連続して僕が関わらせていただいたことは、とても誇らしいことだと思っています。どちらの取材でも、「何故ペーパークラフトをサイトに取り入れよう思ったのですか?」というインタビュアーの問いに、ディレクターさんの答えは「ペーパークラフトの持つ手触り感が、ユーザーの方にアピールできると思ったから。」というものでした。うんうん、そうだろうそうだろう、そんなこたぁ僕は100年前から分かってたんだよ、なーんてそこまで調子のいいことは思いませんが、日々進化し続けるインターネットの世界で、通信の高速化やpdfの技術の進歩、プリンターの普及に伴って、アナログの権化のようなペーパークラフトが重宝がられてきていることは、ちょっと愉快なことだと思います。
 
 日本のWEBクリエイターの約8割が購読しているという噂の、その名もズバリ「WEB CREATORS」2月号、「そのコンテンツが生まれた日」という連載コーナーです。WEB関係者の方は是非ご購読を、そうでない方は書店で立ち読みしてみてください。

 それにしてもWEBに関することを文章に書こうとすると片仮名だらけになって気持ち悪いなぁ。誰かこの辺のIT用語、片っ端から翻訳してくれないだろうか。
  


2006.12.1 週刊ワークショップノート 第一週目

 先週の日曜日、『富山県こどもみらい館』にご招待をいただいてワークショップに行ってきました。「おもちゃの講座」と名付けられたこの講座、受講生は成人限定で、もう十年以上も続いている伝統ある講座だそうです。普段・・・と言っても年に一、二度ですが、行うワークショップは親子が対象のもので、いったいどうなることかと思いましたが、いざ紙を切り始めれば大人も子どもも一緒ですね。予定時間を大幅にオーバーしてもほとんど方が居残ってくださり、最後は完成品を大切そうに持ち帰っていただきました。
 富山と言えばぼくの出身地です。普段は年に一度、正月に顔を出すくらいなので、期せずして今年2度目の帰省となりました。電車で帰った前日の土曜日は抜けるような青空で、電車の窓から見えた立山連峰のきれいだったこと。時期はずれの一人息子の里帰りに(もう40なんですけどね)親が奮発して取ってくれた寿司の盛り合わせ(特上)も、季節柄サンマなんかが乗ってたりして、大変おいしゅうございました。

 さて、ぼくの実家の裏に、幼なじみの女子(繰り返しますがもう40)がダンナさんと二人でやっている自転車屋さんがあります。去年の暮れから始めた自転車通勤ももうじき1年、慣れてくるとだんだん欲も出てくるもので、挨拶がてら交換パーツの相談にのってもらいに行ってきました。当たり前ですがそこは専門家、ぼくが乗っている自転車の型を言っただけで交換パーツの候補が次から次とあらわれ、おかげで予定外の2万円の出費となりました。通勤の足なので、当然領収書は「図工室」で切ってもらいましたが。
 この自転車屋さん、元々は親父さんがやっていたバイクショップの後を継いだもので、今では富山県で一番のMTBプロショップになっています。その品揃えや専門知識はもちろん、夫婦揃って大会にも出場し、毎年メダルを持って帰ってくる実力だそうです。
 
 さてここからが今日の本題。そんなショップですから今時ホームページくらい持っているわけで、今時ですからブログくらいあたりまえにやってるわけです。MTBのこと、家族のこと、そろそろ心配になってくる健康のこと、けっこう赤裸々に書いているブログで、ぼくも時々思い出したように覗いていました。顔文字の多用はちょっといかがなものかと思いますが、書いてる本人や登場人物の顔を知っているブログというのはなかなか面白いものです。こんな文才があるとは中学時代には思わなかったなぁ。MTBといいブログといい、人は変わるものだなぁ。なーんてことを思いながら、富山から戻った後、しばらくぶりに彼女のブログを覗いてみたところ・・・。
 
 あらら、書かれてしまいました。

http://blog.goo.ne.jp/hide825/e/5e1536c89dbaa8a2b4a6df484da8ea35

トップはこちら  http://m-2.vis.ne.jp/

 全体としてはぼくを誉めてくれてるんでしょうけど、これまたずいぶんな書かれようですねー。俺ってこんなにひどいヤツだったのか・・・。やった本人が忘れているようなエピソードまで持ち出されてますが、やられた方は忘れられないっすよね。ムムム、当時の自分ならいかにもやりそうな事だけに言い返す言葉もない。○○さんと××さんには本当に申し訳ないことをしました。今なら即飲みに誘うところなんですが。

 ぼくがブログを見てるなんて思ってないだろうし、面と向かって「見たぜ、アレ」って言うのもちょっと口惜しいので、こんなところで紹介させてもらいました(ホームページも紹介してもらってるのに、コメントがゼロなのもちょっと口惜しい)。みなさんガンガンアクセスしていただき、突然のカウンターアップで彼女を驚かせてやってください。
   

 なーんて、さりげなく1年ぶりに更新しました。何度目の誓いかもう忘れてしまいましたが、今度こそ週1ペースを目標にがんばります。
 

2004年と2005年のWORKSHOP NOTE