季刊「生命誌」BRHカード86号付録

とびだすそっくり生きもの 第3回
コノハムシ

 擬態する生物、といえば真っ先にこの虫を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。擬態ペーパークラフト第3弾は「コノハムシ」。その名の通り木の葉にそっくりな、東南アジアのジャングルに住むナナフシ目の昆虫です。
 このコノハムシ(擬態をするのはメス)、背中とお腹では緑色の濃さがずいぶん違っています。これにはちゃんとした訳がありまして・・・。図鑑などで葉っぱの上に乗っかっているコノハムシの写真を見た人も多いと思いますが、あれは見やすいように撮影の時にちょいと手を加えているそうで、通常は天敵の鳥などから身を守るために葉っぱの裏側に止まっています。つまり鳥から見えるのはコノハムシの腹側という訳ですね。そして一方、実際の葉っぱの表面は光合成を盛んにおこなうためにより多くの葉緑体が集まっており、裏面に比べて緑が濃いとのこと。つまり、コノハムシのお腹は葉っぱの表面を、背中は葉っぱの裏面を擬態しているということなんだそうです。葉脈の見え方も葉っぱの表裏に対応しているとのこと。言葉で説明するとちょっとややこしいこの関係も、実際にコノハムシを組み立てて展示シートに乗せると、ほれこの通り一目瞭然。
葉っぱの表面に止まると・・・
葉っぱの裏面に止まると・・・
 個体によっては今回のおまけのように虫食い跡に似た模様があるものもいて、さらには未確認情報ながら、自分の体のラインにより似るように、途中まで食べかけた葉っぱを放置して別の葉っぱに移るという行動も観察されているそうで、その徹底ぶりには関心させられます。もっとも、擬態に徹する余り羽が変形して飛べなくなってしまったとのことですから、数千万年をかけた大いなる本末転倒のような気もしますが。
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 また、生命誌研究館の館長をつとめる中村桂子先生の日常に密着し、その哲学と活動を追ったドキュメンタリー映画「水と風と生きものと」が、全国各地で順次上映されています(2015年9月現在)。僕が東中野の劇場に行った日は、お昼の会は立ち見が出るほどの盛況だったそうですが、普段はそれほどでもないとのことでしたので笑、気軽にお立ち寄りください。劇場によっては予約もできるのかな?詳しい情報は以下の特設サイトをご覧ください。

水と風と生きものと 中村桂子・生命誌を紡ぐ