家具やデザイン好きの皆さんにはおなじみの「エル・デコ」が今年2012年で創刊20周年を向かえました。ミッドセンチュリーとか北欧モダンといった言葉が一般に広まり、いろんな雑誌が椅子特集なんかを組み始めたのが90年代の後半だったと思いますから、まさに日本のインテリアブームを牽引した雑誌ですね。おめでとうございます。そういう僕も10数年前にこの雑誌を通じてとあるビンテージソファと運命的な出会いを果たし、当時の収入からは考えられないほどの散財をしてしまったことがあります。あのお金があれば、そもそもあの椅子の存在さえ知らなければ・・・と思ったこともないではありませんが、件のソファは今でもばっちり現役。良いものはやっぱり良いんです。その節はお世話になりました。
 さてさてその記念すべき20周年記念号に、いったい誰が思いついたものか、紙工作のおまけが付きました。何たる光栄!今回僕が作らせてもらったのは、フランスの建築家にしてデザイナー、ジャン・プルーヴェが1930年に設計し、近年はヴィトラ社から復刻されているリラックスチェア「Cite」。スチール製のアームにぐるり一周通されたレザーベルトがアームレストになり、使い込むほどに味が出るそのアイデアと機能性に加え、優雅な曲線を描く座面の洗練されたフォルムは、とても80年以上前のものとは思えません。
 家具好きの方にはこちらもおなじみの、ヴィトラデザインミュージアム・ミニチュアコレクションに合わせてスケールは6分の1に設定しました。組み立てるとけっこうなボリューム感ですよ。ミニチュアコレクションをお持ちの方は、是非並べて飾ってください。展開図は両面印刷のA4サイズ4枚という贅沢な仕様に加え、丸めやすいように1枚だけ紙の流れ目を逆にするという、製本の常識では考えられないワガママな要求にも応えていただきました。パーツ数はそれほどではありませんが、細かい切り抜きと丸めてのりづけする部分が多いため、切る・折る(丸める)・貼るの3日くらいに分けて組み立てることをおすすめします。あらかじめ充分に丸めクセをつけ、常に左右対称に注意するのがキレイに組み立てるコツですよ。
 書店でのキャンペーンのため、編集部では50個以上の完成品を組み立てて全国に発送したそうです。写真右上に注目。僕も10個だけお手伝いさせていただきました。近所の書店で鉄筆の折り筋を紙の裏から当ててある完成品を見かけたら、それ僕が作ったやつだと思います。
  さすが名作、どの角度から見ても文句なしにきれいです。本物が欲しくなっちゃった人はこちらでお求めいただけます。ただいま期間限定モデルも絶賛発売中。買っちゃえ!