ALTHORP ACTIVITY CARDS
 昨年の秋にイギリスから届いた一本のメールから始まった仕事がようやく完成しました。ALTHORP(オルソープ)、イギリスはノーサンプトンシャーにある貴族の邸宅のペーパークラフトキットです。日本ではあまりなじみはないかと思いますし、僕も全然知らなかったんですが、今は亡きダイアナ妃の実家といえば伝わるのではないかと思います。今では一般に公開されており、故ダイアナ妃の結婚式のドレスなどを展示したミュージアムを始め、敷地内の池の小島に建てられた故ダイアナ妃を祀る霊廟を訪れる観光客で、夏には大勢の観光客でにぎわうそうです。
 ミュージアムショップの担当者さんが、たまたまMAKE CITYポストカードを手に入れて、うちでもこんなの作れないかしら?と思い立ったのがそもそものきっかけ。イギリスにもペーパークラフト作家はいるだろうに、ここがインターネットのすごいところで、僕の名前を検索して紙工房にたどりついてくれて、直々のメールとなりました。最初に読んだ時は新手の投資詐欺かと思いましたよ。製品に対する海外からの問い合わせは時々いただくのですが、ゼロから作ってくれというのは珍しい話。これまでに受けたアメリカやトルコの見るからに怪しそうな会社からの問い合わせは、見積もりを送った瞬間に音沙汰がなくなりましたが、イギリスの貴族に限ってそんなことはなかろうと、からくりアメリカ版でもお世話になっている、Tさんに代理人をお願いして制作が始まりました。
 とはいえ、日本人相手でもメールのやりとりだけでは進行が難しいのがペーパークラフトの仕事。ただでさえなじみのないペーパークラフトの制作を、言葉はもちろん用紙や印刷システムの仕組みが異なる海外と進めるのはなかなか大変でした。あーでもないこーでもないのやりとりの結果、できあがったのは当初予定していたポスカードからは大幅にグレードアップした、しっかりした厚紙ケース入りの立派なキット。この辺はさすがに太っ腹です。ケースを開くと、完成させたオルソープハウスとステイブルブロック、それから夏を楽しむ観光客や動物たちを展示できる庭園が現れます。7月からはじまった夏のイベントにあわせて、現地のミュージアムで発売が始まりました。万々一訪れる機会がありましたら、僕が作って送った完成サンプルをチェックしつつ、売り場のお姉さんにぜひよろしくお伝えください。