飛び出す!温帯低気圧ペーパーモデル
  
 国立科学博物館「授業に役立つ博物館」の依頼で昨年制作した「折りたたみ式 ミジンコペーパーモデル」。地道に各地の学校やイベントで活用していただいてるそうでで、今年も同じ担当者さんからお声がかかり、今度は中学校の理科教材を作らせてもらうことになりました。今回のお題は「温帯低気圧」。もう一回繰り返しますね。「温帯低気圧」をペーパークラフトに、というお題です。

 およそ形のあるものであれば、何とかペーパークラフトに持って行く自信は、ここ10年の経験で培ってきたのです。でも、温帯低気圧ってそもそもどんな形してるんだっけ?途方に暮れた最初の状態から立ち直った後、担当者さんと打ち合わせを重ね、監修の先生にいろいろ知恵を貸していただきながら、半年がかりでようやく完成したのが、この温帯低気圧ペーパーモデルです。何故か飛び出すんです。


  
 二つ折りのカードを開くと、どこかで見たような図面が広がります。水平方向が、テレビでもよく見る天気図ですね。低気圧を中心に、等圧線と寒冷前線、温暖前線が見て取れます。垂直方向に立ち上がっているのが、この地点で輪切りにした上空の大気の断面図です。大人の人は見慣れないかもしれませんが、中学校の教科書にはこの断面図はよく出てくるのですよ。平面の絵ではよく見かけるこの二種類の図面を、立体的に組み合わせるのが、このカードの第一の意図。冷たい空気と温かい空気の関係が、立体的にイメージできると思います。

 この状態、典型的な温帯低気圧では、どの場所にどんな雲ができてどんな天候なのかを学ぶのが、第二の学習。別パーツになっている雲パーツを、大気の状態や風向きを考えながら、垂直の断面に差し込んで行きます。ヒントがないとちょっと難しいんですが、カードを裏から見ると、ちゃんと大気の流れやなんかが書いてあります。

 
 そしてお次は低気圧の移動です。温帯低気圧全体は、一箇所でじっとしてるわけではなく、偏西風に乗って時間とともに西から東へ移動して行きますので、それを再現するために人物モデルを作りました。手前の溝の右端に差し込んで、前線を東に動かす代わりに人形を西に動かしていくことで、同一地点での時間変化にともなう天気の移行を体験できます。最初は寒くてシトシト雨が降ってるのが、どう移り変わって行くか分かります?

 そして最後は前線の変化。寒冷前線の動きは温暖前線の動きよりも早いため、前線同士の角度は、時間の経過とともに狭くなります。寒冷前線についてる黄色い矢印を引っぱって右方向に動かすと、寒冷前線が温暖前線にどんどん迫っていって・・・最後には閉塞前線になります。記号もちゃんと重なりますよ。
    

  
  

 この他に、カードの手前に刷られた書き込み式のワークシートまでついて、全国の低気圧ファンにはたまらない、機能てんこ盛りの一枚です。フリーダウンロードに加えて、抜き型入りの展開図の販売もおこなっています()。こちらもミジンコ同様、日本中の中学校やイベントで使っていただけることを願っています。

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