道具

●カッターナイフ
 通常の小型のカッターナイフで十分です。色、形などいろいろバリエーションがありますので、自分の好みにあったものを選び、手になじむまで使い慣れることが肝心です。
 個人的にはNT CUTTER PRO Aという名称のものが気に入っており、刃先30度の替え刃を付け、ほとんどそれ一本で通しています。このタイプは持ち手がまったくの左右対称ですので、刃の向きを付け替えれば左利きの方でも右利きと同じ条件で作業することができます。シルバーナイフと呼ばれるペンタイプのものを使用されている方も多いようです。
 いずれの場合でも大切なことは、常に刃先のシャープな状態で使用すること。切れ味の鈍いカッターは、切り口がきたないだけでなく、無駄な力がかかり大変危険です。ほとんどのカッターナイフは、持ち手のお尻の部分(刃を交換する際にはずす部分)に溝がつけてあり、この溝に刃をはさんで鈍くなった部分を折れるようにできています。気のせいかもしれませんが、交換したての刃はグリスの影響でやや切れ味が鈍いようで、僕は刃を交換した時にはまず1回折ってから使うようにしています。

●はさみ
 僕はほとんど使いませんが、最初のうちは、カッターナイフより使い慣れているはさみの方が作業がはかどるかもしれません。直線部分は、慣れてしまえばカッターナイフの方が、楽で正確です。

●サークルカッター
 円、または円弧を切り抜く際に使用します。コンパス状の簡単なものが一つあると大変便利です。僕が設計した場合は、図面上に小さな十字で円の中心点を最後まで残すようにしています。
 OLFA社の黒と黄色のサークルカッター(420円)が一般的ですが、プラスチック成形であるためか、円周を固定するネジを思い切り締めても、回転させているうちにコンマ5ミリ程度のブレが生じることがあります。これを避けるために、僕は黄色い軸と黒い軸受けの間に細く切ったビニールテープをかませています。(追記:その後この問題は解消されました。現在販売されているものは、ネジが一回り大きくなってブレがなくなり、指で回す軸も太く短くなって、操作の安定性も格段に増しました。これでこの値段は素晴らしいです。)

●カッターマット
 様々なサイズが販売されています。スペースの許す限り大きい方が作業は楽になります。

●定規
 慣れないうちは、線を引くためにエッジがななめになっている定規でカッターナイフを使うと、刃先が定規に乗り上げ、指まで切ってしまうことがよくあります。その場合は背の部分を使いましょう。
 将来、自作のペーパークラフトを設計してみようと思っている方は、5ミリ方眼の入った直線定規、三角定規があると便利です。

●アール定規・テンプレート・雲型定規
 カーブを正確に切り抜く際に使用しますが、かなりの修練が必要です。もともとは建築設計の道具なのですが、最近は図面を引く作業がほとんどCAD化されたため、大手文具店に行っても扱っていません。近所の文具屋で売れ残りを見つけたら、すがさず買っておきましょう。

●パンチ・目抜き・木槌
 通常のペーパークラフトではほとんど出てきませんが、小さな円を打ち抜く際に使用します。手芸用品店、皮革工芸品店などで各サイズそろえることができます。

左から:カッターナイフ、シルバーナイフ、サークルカッター、雲形定規二種、アール定規二種
テクニック

 常識的なこと以外に特に秘訣と呼べるほどのものはありません。
 慣れるまでは、刃先が定規をはずれて不必要な部分まで切ってしまうことが多いので、パーツ部分が常に定規の下に隠れる向きに定規をあてるようにしましょう。ある程度厚い紙を切る場合は、一度で切ろうとせずに、何度か軽めにカッターをあてる方が切り口はきれいに仕上がります(特にサークルカッターを使う場合)。フリーハンドで曲線を切る場合は、カッターを固定して紙を回すように切ると比較的きれいに切り抜けるようです。
 言うまでもないことですが、刃先にはくれぐれも気をつけてください。僕は以前床で厚紙を切っていて、足の親指の股を切り裂いてしまい、4針縫って翌々日から入っていたスキーツアーをキャンセルするはめになったことがあります。

 以前、自主制作にあたってモニターをお願いした方から、「切る時は、線の内側を切るのか外側を切るのかそれとも中央なのか?」という質問を受けました。僕はイラストレーターというソフトを使って作図をしているので、厳密には切り取り線の中央が正確な寸法になります。ただし、線のギリギリ内側で切る分には、組み立てに際してほとんど現実的な問題は起きません。慣れてくれば、線の中央を切って精度を優先すべきか線の内側を切って美しさを優先するべきか、部品の形状を見て判断できるようになります。